2016年8月31日水曜日

エアバッグの危険性は語られないのか?

先日の事故のニュース。
ある母親が運転ミスで電柱に激突し、助手席に乗せていた女の子が死亡した。
女の子はシートベルトを締めていたが、チャイルドシートは使っていなかった(後部座席にあった)。
そして死因はエアバッグによる胸部圧迫だった。

私は、このニュースをみたその日、非常に心地悪い気分になった。
というのは、死因はエアバッグのなのに、エアバッグ使用の構造上の問題を一切マスコミでは取り上げないからだ。
悪いのは、チャイルドシートに子供を乗せなかった母親だ、と決めつけていた。

で、今日のニュースは、その母親の執行猶予付きの有罪判決が下った、というものだ。
論説は、事故当時のニュースとほとんど一緒。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160901-00000069-mbsnewsv-l27

ここでも、エアバッグの危険性はまったく語られない。
なぜなのだろう?
エアバッグが膨らまなかったら、女児は死ななかったであろう。なのに、なぜか「チャイルドシート不着用」という法律違反のせいで女児は死んだとしている。
問題がすり替えられている。

マスコミも、司法も、こんな程度の論理で話をするのかと思うと、鬱々とした気持ちになる。

 *

ところで、私はこの5月に茨城県の妻の実家に帰省した際、警察につかまった。
二男(0歳)チャイルドシートの不着用のかどである。
さらに、長男(5歳)のジュニアシートも不着用であった。
こんな状況では言い逃れなどできるはずもない、という残念そうな顔つきで、妻は子供たちといっしょに後部座席の窓から、警官と私のことをぼーっと見ていた。
案の定、2人の警官は言語道断だと息巻いた。

帰省中なので、チャイルドシート・ジュニアシートを用意していなかったというのはある。
沖縄の日常生活ではちゃんと備えている。

けれど、じっさいのところ、二男には妻が後部座席でおっぱいを飲ませていたという都合もあったし、チャイルドシートで泣く場合も多いので、ケースバイケースなのであって、使わないことも多い。

のみならず、じつは私たちには、非常に強い「チャイルドシート」への不満があった。
5歳の長男がまだ生まれたての頃、「安全のために、いいやつ買おうよ」ということになって、大手アップリカ製の比較的高価なチャイルドシートを購入した。
ところが、そのチャイルドシートは最初からキツかった。はや7ヶ月頃には長男は収まらなくなった。

何ということか、信じられないことに、・・肩にかけるベルトの長さがマックスにしても足りないのである。
たしかに長男は当時、かなり太っていた。しかし人間離れするほどに太ってはいなかったはずだ。
時間をかけてあれこれ試したがダメだった。
説明書を何度も見た。使い方は正しかった。

私鉄運転士をしている親友にも見てもらった。
彼はチャイルドシートにはうるさいタチだったが、あれこれいじって、首を傾げていた。
「こりゃ・・・分からんなあ! 不思議だ。ウチのは超簡単に調節できるのに、・・やっぱりベルトが短すぎる。不良品としか思えないけど・・・でもそんなもの、世の中に出すかなあ?」

私は、リュック用の余分なベルトを付け足して細工して工夫し、長男が少し大きくなるまでを持ちこたえたのだった。
よっぽど、質問及びクレームの連絡をアップリカに入れようと思ったが、・・・なんだかんだ生活にかまけて結局連絡しないままにしてしまった。


息巻く警察官に、いまごろになって私はその件を持ちだした。
午後3時ころで、ちょうどネズミ捕りをしているその場所では、次から次へと市民が犯罪を犯してネズミ捕りに引っかかり、罰金を払ったり、切符を切られたりしていた。

が、私はまったく引かなかった。納得いかないからだ。何万円も払って買ったチャイルドシートがちゃんと使えなかった恨みはいまもある。何が安全性だ。国家がちゃんとチェックしろというのだ。

ついでにいえば、ジュニアシートだって安全かどうかは分からないと思う。
子供にはよく使わせるが、ぐらぐらする。

ベテランお巡りさんとイケメンお巡りさんは、噛みつかんばかりの口調で切符をきろうと励んでいたが、私の剣幕とやっかいな論理に圧されて、ついに私を見切った。

「けどね、お父さん。子供の命を守ろうとは思わんのですか? ジュニアシートで座高を上げてやらないと、シートベルトが首に当たるでしょう。頸動脈を切って亡くなることだってあるんですよ、実際に!」

・・・この言葉には、さすがに私も言葉を失した。
私も素直になって、「すぐにジュニアシートは買って帰ります」と言った。
警察は、今回は見逃してくれた。帰りがけにリサイクル屋でジュニアシートの良い物を格安で買って、妻の実家に帰ったのだった。

しかし・・・ジュニアシートを使ってみても、あらためて変だと感じる。
ジュニアシートをしたって、子供の首にシートベルトは当たるのである!
馬鹿馬鹿しい。
子供には、「ななめのシートベルトを背中に回せ!」と言い聞かせる。正規の使い方ではないが、頸動脈でも切られたら元も子もない。

私が総理大臣だったら(←急に空想話になってしまうが)、シートベルトの構造自体を抜本的に変更させるだろう。当然、子供の首にも当たらないように。
エアバッグは、チャイルドシートがあってもなくても、子供も大人も圧迫死させない構造に移行させるだろう。命を守るための器具なのだから、これが当然の感性だと思う。

タカタ製のエアバッグの死亡事故のように、欠陥品がインパクトあるかたちで事故を起こせば、世間も国もマスコミも動くのだ。
しかし、じわじわと中途半端な習慣が行き渡り、それがルールとなっていると、さきの女児死亡事故のエアバッグや、このジュニアシートやチャイルドシートのように、わけのわからぬ本末転倒な事態がはびこったままになる。

変な世の中だ。




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